ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
「今度、鈴花の家に子供の頃の写真持っていくよ。それ見ながら一緒に考えよ」

「ありがとう」

「それまでに、恋を進展させてね。清らかなお付き合いじゃ私は満たされないから。ライバルの嫉妬と妨害とか、駆け落ちとか、もっとドラマチックに盛り上げて」

真紀が「駆け落ち」と復唱して笑っている。

(それはないけど、ライバルの嫉妬はあるかも)

怜奈の顔を思い浮かべ、絶対に知られないようにしないとと思っていた。



十月に入ると山が色づき始める。

時刻は八時半。夜勤明けの鈴花は秋を感じながら帰路を歩いている。

すると、小学生の男の子たちが追い越していった。

「遅刻するぞ。もっと速く走れ!」

(可愛いな。私にもあんな頃があったよね)

子供の頃もぽっちゃりだったが、体を動かすのは好きで運動会では活躍した。

クラスのまとめ役のようなポジションにいたので、学級委員を務めたことは何度もあり、六年生では生徒会長になった。

世話焼きな性格だったので、転入生に校内を案内したりルールを教える役目も引き受けていた。

(楽しい子供時代だったな)

懐かしさに目を細めてアパートに着くと、軽トラックが一台止まっていた。

引っ越し屋のマークがついている。

(誰か引っ越すの?)

トラックを回り込むと、作業中なのは鈴花の隣、104号室だった。

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