ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
(なにも言ってなかったけど、たぶん譲だよね。ほんと申し訳ない。今度、謝ろう)

外がなにやら騒がしい。

リフォーム工事は完了したはずなのになにかを運んでいるような物音や数人の声がする。

玄関ドアを少し開けて覗くと、作業服姿の男性たちがダンボール箱や家具を隣の部屋に運び入れていた。

(もう引っ越してきたの?)

工事の完了後すぐのことに驚く。

新しい隣人が挨拶に来るだろうかと思いながらテレビ前に戻り、まだ寝室を確認していなかったのを思い出した。

引き戸を開けると、そこには――。

(なにこのドア!?)

隣室との間の壁に木目の室内ドアが取りつけられていた。

(なにかの手違い?)

ドア前で混乱しながらたたずんでいると、ノックの音がした。

(えっ、誰? 返事をした方がいいの?)

「鈴花、いる?」

(この声は……譲!?)

恐る恐るドアを開けると、白いボタンダウンシャツに黒いストレートパンツ姿の海崎が微笑んで立っていた。

「隣に引っ越してきました海崎です。よろしくお願いします。つまらないものですが、こちらをどうぞ」

差し出されたのは粗品と書かれた熨斗付きのフェイスタオルだ。

「ご丁寧にどうも――じゃないよ!」

「おかしいな。日本の引っ越しの作法を間違えた?」

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