ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
三年間の付き合いで楽しい思い出もたくさんあるから、感傷的な気分になる。

とけたアイスクリームをしんみりと味わっていると、低く伸びやかな声を正面からかけられた。

「落ち込まなくていい。鈴花には俺がいる」

いつの間にかイケメンの彼が、隆矢が立った席に座っていた。

思わせぶりな台詞に熱い眼差しまで向けられて思わず心臓を波打たせたが、すぐに冷静になる。

「あの、演技してくれなくても、もういいですよ」

よく言えば女性の味方のジェントルマンだが、見知らぬカップルの別れ話に首を突っ込むのはお節介すぎる気もした。

フルーツと白玉を急いで食べ、汁を飲み干してから席を立つ。

「お騒がせしました。これで失礼します」

「鈴花、待ってくれ!」

(知らない人に名前で呼ばれても困ります)

鈴花が戸惑っているのに気づいたのか、マスターがカウンターの向こうから彼を呼んでくれた。

「お客さん、コーヒー冷めますよ」

「あっ、はい」

「甘いのが嫌じゃなかったら、コーヒーのお供に自家製の甘納豆はどうです? 意外と合うんですよ」

彼がマスターと話している隙に、レジに五千円札を置いて早足で店を出た。

馴染みの店なので、おつりは次に来た時に渡してもらえるだろう。

(呆気ない終わり方だったな)

駅前通りをひとり暮らしのアパートに向けて進む。

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