ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
顔を見て『おやすみ』と言いたかった彼が就寝前にノックすると、鈴花が返事をしたそうだ。

ドアを開けると部屋は暗くすでに布団に入っていたが、問いかけに答えてくれたのでまだ起きていると思ったらしい。

「一緒に寝ていいかも聞いたんだが」

「私、いいって言ったの?」

「ああ」

(全然覚えてない。寝ぼけてる時の私、適当に返事をしちゃうんだ。めちゃくちゃ危ない)

一緒に寝ていいかと聞いてしまう彼もどうなのか。

これでは同棲と変わらない。

二度目がないようにと、真顔で彼の正面に立った。

「譲、おやすみの挨拶程度でドアを開けるのはなしにしよう」

「どうして?」

「別々の家だと思えなくなるから。それにね、私今、寝起きのすっぴんなの。見られたくない気持ち、わかるでしょ?」

「恥ずかしいということ?」

「そう。わかってくれてよかった」

話しが通じたとホッとするのはまだ早いようで、彼が小動物を愛でる時のような笑みを浮かべた。

「心配いらないよ。メイクをしていなくても鈴花は可愛い。素顔を見られて嬉しいんだ。きれいな肌、日本では卵肌と表現するんだよな?」

彼の男らしい指先が鈴花の頬をすべり、ゾクッとした。

「柔らかい餅みたいで、食べたくなる」

男の顔つきになった彼が頬に唇を近づけてきたので、慌てて飛びのいた。

「頬もダメ?」

「ダメ!」

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