ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
「夢見ていた暮らしがここに再現されて、幸せを噛みしめていたんだ。愛する君が喜んでくれるのが嬉しい。よかったら、これからも俺に朝食を作らせてくれ」

「あ、ありがとう」

(まるで夫婦みたい……夫婦だけど)

美味しい食事は心を緩めてくれる。

また少し彼との距離が近づいた気がして、くすぐったい気分になっていた。



時刻は十三時半。制服姿の鈴花は、歯ブラシなどのアメニティや簡単な掃除道具を積んだ台車を押して客室を回っている。

チェックインは十五時からで、それまでに使用予定の客室の最終チェックをするのもフロントの仕事だ。

(ベッド、よし。アメニティ、不足なし。露天風呂は……)

この部屋は露天風呂付きデラックスルームだ。

湖が見えるバルコニーにヒノキの浴槽があり、温泉が湛えられている。

アルカリ性単純温泉と呼ばれる泉質で無色透明。入ると肌がすべすべになる。

湖の対岸にある温泉旅館が建ち並んだエリアとも源泉を共有しているが、あちらは他に硫黄泉も引いている。

このホテルはリゾートホテルの位置づけなので、温泉をメインで楽しみたいなら旅館に泊まる方がいいだろう。

露天風呂も点検し客室を出ようとしたが、ドアに小さな汚れを見つけてきれいに拭き取った。

廊下へ出ると、真紀がいて目を瞬かせる。

「なにかありました?」

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