ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
手招きされたので近づくと、大きな紙袋を差し出された。

「温泉饅頭の箱がたくさん」

「旅館にお土産で置いてある温泉饅頭を全種類買ってきた。当ホテルでも売店に置いてみたい。全種類は無理だから二種類に絞ろうと思うんだが、鈴花に決めてもらいたい。誰かと相談してもいいから近日中に頼む。いい?」

当ホテルの売店はおしゃれなイメージで、洋菓子はあるが温泉饅頭は置いていなかった。

温泉饅頭を希望されるお客様には近くのお土産屋を紹介していた。

海崎はその方針を変えたいようだ。

「うん。お饅頭大好きだしぜひやらせてもらいたいけど……会議はどうだったの?」

「建設的な意見交換ができて、有意義だったよ。今度、組合長と飲みにいく約束をしたんだ。旅館経営に情熱を注いでいる人で、いい刺激を与えてもらえた」

(つまり仲良くなったということ? うちのホテルをよく思っていなかったあの組合長さんと。すごい)

神山の長年の苦労はなんだったのかと思うほどの成果を数時間で上げてきたようだ。

どんな技を使ったのだろうと感服した。

「それじゃ私、戻るね」

「コーヒー飲んでいってもらいたいところだが」

「ありがとう。でも勤務中だから」

「だよな」

眉尻を下げつつ頷いた彼に心臓が波打つ。

(一緒にいたいのを我慢してるみたい。なんか可愛いかも)

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