ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
立ち上がろうとしたが、夢美に止められる。

「やっと来た。私が出るからいいよ」

「誰か呼んだの?」

「うん。鈴花と真紀さんもよく知ってる人だから安心して」

玄関ドアを開けて「いらっしゃい」と夢美が招き入れたのは、フロントスタッフの加藤だった。

(加藤くんを呼んだんだ。どうしよう。男性はちょっと……)

男性を招くのが嫌なのではなく、問題は海崎だ。

思わず新しい室内ドアに目を遣った。

(加藤くんの声が聞こえてしまったら?)

嫉妬してそのドアを開けて入ってきそうな予感がした。

焦っても呼んでおきながら帰ってとは言えず、作り笑顔で加藤を自分の隣に座らせた。

鈴花の気持ちを察した様子の真紀が苦笑して聞く。

「加藤くん、今日は休みだったの?」

「これから夜勤です。十九時半にここを出ようと思ってます」

「そっか。仕事前なのに夢美が声かけてごめんね」

「いえ、夕食をご馳走になってこちらこそすみません。美味しそうですね。いただきます」

(加藤くんって真面目ないい子なんだよね。ゆっくりしていってと言いたくなる。でも夜勤で助かった)

あと一時間、加藤の参加を海崎に気づかせなければなにも問題ない。

気持ちに少し余裕ができて、鈴花も食事を再開する。

「加藤くん、苦手なものはない? 辛いものは平気? 遠慮しないで言ってね」

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