ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
在宅しているのは間違いないようで、加藤の声が聞こえたのではないかとヒヤヒヤした。

「杏野さん、僕、なにかおかしなこと言いました?」

「あっ、ごめんね。褒められ慣れてないから固まっちゃって」

笑ってごまかしながら冷や汗をかく。

(聞こえた? 聞こえてない? もし聞こえたとしても、お願いだからドアを開けてこっちに来ないで……)

落ち着ない気持ちになっていると、またインターホンが鳴って肩を揺らした。

「あっ、来たかな?」

そう言って夢美が立ち上がる。

(まだ誰か呼んでるの?)

目で訴えると、夢美が笑顔で首を横に振る。

「ううん。来るのを期待して待ってた」

(どういう意味?)

張り切った様子の夢美が「はーい」と玄関ドアを開けると、海崎が見えてギョッとした。

(加藤くんの声、やっぱり聞こえてたんだ。でも玄関から来ると思わなかった)

一応、部屋が繋がっているのがバレないように配慮してくれたようだ。

「遅くなってしまった。いい香りだね。杏野さん、お邪魔するよ」

まるで最初から招待されていたかのような口ぶりで入ってきた。

「ど、どうぞ。お待ちしていました」

話を合わせるしかなく、無理やり作った笑みが引きつる。

真紀はなるほどと事情を察したような顔で挨拶し、加藤は驚いた様子で立ち上がる。

「海崎オーナー、おつかれさまです」

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