ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
「それは気づかずすまなかった。よかったら一本、持って帰って自宅で飲んで。杏野さん、それでいい?」

太っ腹な海崎に感心しつつ、「もちろんです」と頷いた。

「ありがとうございます。嬉しいです。僕の彼女がワイン好きなので、今度一緒に飲ませていただきます」

加藤は大事そうに赤ワインを受け取り、通勤バッグにしまっている。

「それはいいね。ぜひ恋人と一緒に楽しんで」

海崎の目から警戒が消えたような気がした。

加藤に交際中の相手がいるとわかって安心したのかもしれない。

(嫉妬する必要ないとわかってくれたならよかった)

真紀が注いでくれた白ワインを飲む。

さすが高級ワインで、フルーティなのに後味はスッキリして口当たりが上品だ。

(この前の夕食で飲ませてもらったワインも美味しかったけど、これも好き。自分じゃ買えないのに、はまったらどうしよう)

ワインのおかげで鈴花の緊張感も和らぐ。

「加藤くんの彼女、どんな人? 聞いてもいい?」

夢美と真紀が加藤と話している間に、海崎が声を潜めて話しかけてきた。

「邪魔してごめん。男性の声がしたから気になったんだ」

わかっていると頷き、「あとで話そ」とそれ以上の言葉を止めた。

「海崎オーナー、キムチ鍋をお取りしますね」

最近では砕けた口調で話すのにすっかり慣れているので、敬語を使うのに違和感を覚えた。

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