ホテルオーナーの執着愛~地味でぽっちゃりな私にだけ甘すぎます~
「ありがとう。実はこういう鍋は初めてなんだ。作法のようなものがあれば教えてくれ」

(やっぱり。そんな気はしてた)

「特にないですよ。楽しく好きな具材を取って食べるだけです。具材を食べ終えたら、シメにご飯やうどんを入れます」

今日はうどんを用意しているが、ご飯とチーズを入れてリゾット風にするのもお薦めだ。

シメについて熱く語っていると、うっかり口を滑らせる。

「今度、ふたりでお鍋をしたあとのシメはご飯で――」

(しまった!)

加藤に不思議そうな目で見られて焦っていると、海崎が話を微妙にずらしてくれる。

「シメという文化は理に適っているな。うまみが出たスープを残すのはもったいないから。加藤くんはシメになにを選ぶんだい?」

「僕は両親と暮らしていまして、家ではラーメンを入れます」

「へぇ、それもおいしそうだ」

(譲、ありがとう)

秘密にするという約束を守り、助けてくれた彼に感謝した。

安心して続きを食べようとすると、海崎に左腕がぶつかった。

テーブルが狭いのでどうしても当たってしまう。

食べにくいだろうと思いほんの少しお尻の位置をずらすと、テーブルの下で手を取られた。

(えっ!?)

驚いて隣を見たが、加藤と話している彼とは視線が合わない。

(バレちゃうよ)

焦っているのに彼の右手は鈴花の左手の感触を楽しむかのように触っている。

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