一夜限りの恋だったはずなのに、最強総長は息子ごと私を離してくれない。
そのとき――。
「兄貴?」
扉の向こうから、少年の声がした。
「湊か」
「入っていい?」
「ああ」
扉が開く。
入ってきたのは、高校生になった哉太の弟・湊だった。
「父さんが兄貴探してた」
「また仕事の話か?」
「たぶん」
湊は部屋の中を見回す。
「……渡さんもいたんだ」
「はい、湊様」
「兄貴と何話してたの?」
「少し調べものを」
「へぇ」
湊は興味深そうに兄を見る。
「兄貴、なんか最近変じゃない?」
「何が」
「ぼーっとしてる」
「してねぇよ」
「してるって」
「うるせぇ」
「ほら」
湊が笑った。
