WINNER
しかし、やらかしてしまったものはしょうがない。ここは……
逃げるが勝ち!!
私は陸ちゃんの腕を掴んで「行こう、陸ちゃん」と引っ張ると、今度は逆の方から九条の手が伸びてきて
「だから言っただろ?仁科は俺のもん……オンナって」
ふわり、肩を抱かれて
「だから彼氏面するなって…!」と言いかけた言葉を、これまた何か企んでそうな九条の厭味ったらしい笑顔が満面に咲き誇り
「いいの?これって軽~く傷害罪だよな?幸いにも目撃者はたくさんいるし~?」
と、こそっと私に耳打ち。
しょ、傷害罪!?
こんなことで警察呼ばれたら、今度こそ私のキャリアは……老後は……
あわわわわ……急に自分のしでかしたことの大きさに気づき怖気づいた。
「ちょっ!陽妃ちゃん、僕の話もまだ終わってないんだけど」と珍しく陸ちゃんが私の手を引き、
「うっせーよ、おっさん。こいつは俺が連れてくの」べーっと舌を出しながら九条が陸ちゃんを睨む。
こ、これって大岡越前状態じゃない。なんて冷静に思ってる場合じゃない。
「あの…お客様、他のお客様のご迷惑になりますので…」とウェイターも迷惑そうに顔をしかめていて、結局、陸ちゃんが手を離した。
九条は私の肩を抱きながら
「ほらな、簡単に手放すのが愛情だと思ってるかもしれないけど、手放したら二度と手に入れられねぇんだよ。大事なものならなおさらな」
陸ちゃんは唇を噛みながら下を向いている。
「―――陸ちゃん……」何だか急に陸ちゃんに申し訳なく思って、外へと向けかけた足を止め振り返ると
「あら~フられたもの同士仲良くしましょ」とにこにこ笑顔の、九条と一緒に呑んでいたさっきのパンツスーツの美人がいつの間にかここに来てて陸ちゃんの肩を押し、陸ちゃんは力なくその場に座った。
「要くん?君も大人なんだからTPOを考えなさい?ホント、男の子っていつまでもガキみたいでしょうがないわよね~」と私ににこにこ。それは大輪の花が咲いたように美しかった。
お、大人の余裕ーーー!?
かっこいい!
「わりぃなアヤメさん。後は頼んだワ」
「分かったわよ、お嬢さんをしっかり送り届けなさいよ~」
とアヤメと呼ばれた女性はひらひら。
な、何かまとまった??
ていうか、相変わらず流されてるって言うのかなぁ、結局九条と帰ることになっちゃったし。
てかあの人誰!?
「って言うか九条、手!」ずっと繋ぎっぱなしなんですけど!
「あ?ああ悪りいな」と言ったから離れてくかと思いきや、私の指の間にするりと指が絡みこんできて
「恋人同士だったらやっぱこっちだよな~」
って……
ちっがーーーーう!!