WINNER

思わず九条と顔を合わせると、九条は軽く肩をすくめた。


ブチっ!


本日二回目の堪忍袋の緒が切れた。


「あのね!言わせてもらうけど、私は(宝田ちゃんと比べて)若くもないし、今の営業だっていつも何かやらかして左遷されないか冷や冷やしてんのよ!営業は何かとカネが掛かるから貯金だって少ないし!老後のことにも不安だらけよ!」


そう言ってやると


「仁科、そこんとこ俺に任せておけ。俺はお前に一生苦労かけないぜ」と九条が自慢げに胸を叩き

「ぼ、僕もだよ!」と陸ちゃんが慌てて手を上げる。



「そこの男ども!黙ってろ!」ビシィ!と指をさすと九条と陸ちゃんは二人とも目を開いて唇を引き結んだ。


「私の周りには女を食いもんにしか思ってないクズや」九条の方を指さすと九条は口をぱくぱく、「いっつも後ろ向きで下向きな根暗教授、いいのは顔だけとか」今度は陸ちゃんを指さすと、それがショックだったのか陸ちゃんはがくりと膝をつき、何故かアヤメさんとペア(?)になってる男の刑事さんは「プッ」と吹き出してる。けれど止められない。


「そんなしょーもない男ばっかよ!でも、でもね!しょーもないけど、支えて貰ってるんだよ、癒しになってんだよ、


好きなんだよ!


私は今までその気持ちから逃げてきた。私はしょーもない男よりもっとしょーもないクソ女だ。



だから、自分の気持ちにまっすぐに向き合える斎藤さんのこと、すっごい尊敬できる」


斎藤さんが目を開いて、ゆっくりとまばたいた。


彼女がまばたきをするその瞬間、どうか彼女の目の前の世界が決して暗いものではない、と言うことが届くように―――


あなたの愛し方は間違っていたかもしれないけれど、素直になれる斎藤さんは言葉通り、かっこいいよ。




「斎藤さん、罪を償って。大丈夫だよ、あなたならやり直せる。そんなに一生懸命ひとを愛せるのなら」



どれだけ時間が掛かってもきっと―――



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