WINNER
いつも持っていた。私はバッグから陸ちゃんから手渡された指輪の箱をずいと陸ちゃんの前に突き出した。
気が弱くて、おどおどしていて不器用で、でも
いつも守ってもらっていた。いつも心強かった。
特にここ数日間は最終的には陸ちゃんの嫁になる、と言うズルい逃げ道が出来ていたことに少しばかり安心もしていた気がする。
でも私は―――荊の道だけれど、決して楽な道じゃないけれど、九条と一緒に居るってこと―――選んだ。
ごめんなさい。
陸ちゃん何も言わず、ただ項垂れたまま私の返した指輪を、受け取ってくれた。
「それとね……」
言いにくそうに項垂れ、私は一連の犯行が実は陸ちゃんじゃないかって疑ってたことを言った。
「え!?僕が!?そんな愛するひとを傷つけようとか流石に思わないよ」
だよね……
ごめんね、酷い女で。だから私は陸ちゃんが想ってくれてるようないい女じゃなくて、今だって陸ちゃんが最後の最後私の印象を悪くして苦い思い出にしてくれれば、とやっぱり逃げてる。
けれど
「僕はどんなことがあろうと、陽妃ちゃんを嫌いになんてならないし、プロポーズは失敗しちゃったけど、これからも陰で君を支えたいと思ってる」
陸ちゃん……
またも目頭に熱いものがこみあげてきた。泣くなんてダメ。私、散々陸ちゃんを振り回してあげく脅迫状の犯人だと疑って、フッた女だ。最後の最後に涙を見せるなんてそれこそ卑怯だよ。
でもその目の前にふっと影がよぎった。それは九条の大きな手で私の目を両手で覆ってる。私が涙を流していることを気づかれないために。
「大丈夫だよ、おっさん。これからは俺が仁科の支えになるから」
九条―――
九条は、ズルい。
ここぞ、と言うときいっつも優しいんだから。
ズルイよ―――