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ホンモノの姫

■ホンモノの姫


それから二週間経った。


「先輩~、斎藤さんが横領で捕まったってホントですかぁ」と、この頃すっかり私たちに溶け込んでいる宝田ちゃんが社食のラーメンをすすりながら聞いてきて、てか最近SNS映えを意識しなくなったのかな、これが素?って感じで全開。


「あー……うん…そうみたいだね」流石にその場に居合わせた、とは言えない私はもくもくと唐揚げ定食を食べていたけれど


「何かぁ、仁科先輩と付き合ってたホストに貢ぎあげてて先輩とつかみ合いの喧嘩になったとかぁ」


「あ、私は陽妃が背負い投げで対抗したとか聞いたな」


………


噂は尾ひれと背びれをたっぷりとくっつけて変な風に出回っていた。


「違う違う!」


脅迫状の件をこの二人は知っているわけだから、あの犯人が斎藤さんの仕業であったこと、そして斎藤さんはセイヤなるホストと私が付き合ってると勘違いして刺されそうになったこととか、九条が未然に防いでくれたこととかを喋り聞かせた。


「へー!そうだったの!」と敦美と宝田ちゃんは目を丸める。


昼のランチ時に話すにはなかなかヘビーな話だ。唐揚げ定食がやけに胃にもたれる。


「やるじゃん、九条さんも」と敦美は頬杖をついてニヤニヤ。宝田ちゃんも顔の前で手を組んで「で?付き合ってるんですかぁ?」と二人ともまるでゴシップネタに飢える主婦の様……って前にも思ったな。


「つ、付き合ってないよ…」


事実、あの事件があってから九条から音沙汰なし。こっちから連絡するのも何だか妙に照れくさくて連絡してない。


やっぱ私を好きって言ったのは斎藤さんをおびき出すための作戦だったのかな。


斎藤さんが捕まっても「好き」って言ってくれたけど、あれはやっぱりアフターサービス的な?


嗚呼、分かんない。


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