WINNER

高速で20分、下道で10分走ったときに、暗くて雰囲気もちょっと変わってたけどふとこの光景に見覚えがあることを思い出した。田んぼのあぜ道、所々立つ民家。古びたローカル的なコンビニ……も未だ健在しているんだ。


「この先って……」


「覚えてたか?そ、俺らが出会った中学校」


「中学校に?」何故に??しかも敦美も宝田ちゃんも一緒だし、後から青山くんもくるって


どゆうこと!?


「あんた、何企んでる?」じとっと運転中の九条を睨むと


「まーまー。着いてからのお楽しみよ」と何故か敦美に説得され、てか皆グルだし怖いんですけど。


思った通り、私たちが出会った中学校は記憶に遠かったその姿をほとんどそのままの姿で残しつつ、今鮮やかに蘇った。ああ、昔はもっと明るい色の灰色だったけれどすっかりくすんでしまって、とか、あ、あの桜並木まだ残ってるんだぁとか感動したり。


学校は所々明かりが灯っていて、


「人が居るんじゃない?大丈夫?これって不法侵入じゃ…」と心配そうにしたものの、開きっぱなしになっていた校門から運動場へと九条は車で入っていった。


懐かしい…15年前、ここで運動会したっけね。知らなかったけど、九条と嵯峨野くんが部対抗リレーで賭けをしていて。


全ての記憶が私の目の前を鮮やかに横切る。遠い日の青春。そしてその青春時代を過ごした運動場に、車を走らせると言う背徳感がちょうどいい感じに高揚している。


九条は正面の昇降口の前に車を付けると、車を降りた。またも九条が助手席に回り扉を開けてくれて私はおずおずと九条に手を引かれるまま、車から出た。敦美と宝田ちゃんも出てきて


「わー、味があっていいですねぇ、夜の校舎って」と宝田ちゃんがキラキラした目で校舎を見上げる。


どうやら肝試し、ではなさそうでちょっとほっ。だって私こう見えて幽霊とか大の苦手だもん。


だけど昇降口から顔を出したのは幽霊なんかじゃなく




「陽妃!」




え――――?


「朱里!?」中学の時の親友、朱里がちょっと華やかなワンピース姿で手を振っていて、その横にはスーツ姿の


「嵯峨野くんも!?わぁ!久しぶり~!背ぇ高くなったねぇ」


これってサプライズのプチ同窓会的な??


とワクワクしたのも束の間、


「さぁさ、お嬢さんはこっち~」とあの、脅迫事件を解決してくれたアヤメさんと言う刑事さん!?何でここに!?


「要、ここまで協力してやったんだから、高くつくぞ」と、九条の従兄弟のイケメン刑事さんも!?


な、何で!?


何が起こるの!?


< 77 / 82 >

この作品をシェア

pagetop