WINNER
感動の再会もゆっくり味わうことができず、ワケも分からず私は朱里と敦美、二人の親友に、またも脇を固められ、理科室へと連れてこられた。
懐かしい……アルコール消毒液の匂い。骨格標本も上下にスライドする黒板も、何もかも変わっていない。けれど重圧な木製の机だけは脇に動かされていて、ぽっかりと空間が開いていた。
「く、九条は?」ここになって九条の不在が気になりだした。不安そうに振り返ると
「それは後で」と敦美にコートを脱がされる。「服も脱いでね」と朱里に言われ、
は!?服を!?何故!
怖い……怖すぎる!追いはぎか!?
ぎゅっと肩を抱きしめていると
「はいは~い!お着換えしましょうね~」といつの間に来たのかアヤメさんが私の腕をぐいと上げる。
てかアヤメさん、気配感じなかったよ。流石刑事さん!って感心してる場合じゃない!そうには見えないけどめちゃめちゃ力強いし!
朱里は無遠慮に私の体をぽんぽんと触り、まるでボディーチェックを受けている凶悪犯状態。
わ、私、ホントに何されるのーーー!!?
「陽妃、中学のときから体系変わってないね、あ、でも胸は大きくなったかぁ」とニヤニヤしながら「私には細すぎてサイズが合わなかったけど、陽妃ならピッタリそう」と言って取り出したのは、白いふわふわした
う、ウエディングドレスぅ!?
「あのぉ……確認して宜しいでしょうか」そろりと手を上げると
「何~?」と朱里ののんびりした返答が。「あ、これねうちの会社から借りてきたものだから、一押しドレス。だから気にしないで」
ああそっか。朱里はウェディングプランナーだったね。
って、そうじゃなーーーーい!!
「これから誰かの結婚式なのでしょうか」
私の質問に朱里と敦美、アヤメさんが顔を合わせ
「「「う゛~ん……」」」と三人が三人とも首を捻った。
ちょっと……『ご利用は計画的に』じゃないけど、プランがあるならその辺しっかり固めておいてよ。
「まぁとりあえず良いから着替えよう、ね」と朱里ににっこり微笑まれ、ああ゛中学の親友の笑顔の眩しいこと。
そう言えば私たち、理科室で研究実習した後、器具を片付けながら恋バナしたよね。
私はあの時から九条のこと意識しはじめてて―――でも朱里に言えなかったのは、朱里が九条を好きだって知ってたから。
苦くも酸っぱくも、そしてほんの少し甘さが混じった思い出。
15年経った今も光景は変わってないけれど、私たちは歳を重ね、それぞれの道を見つけた。歩むべき道が別れても私たちは親友だと思ってた。だから朱里の結婚式を楽しみにしてた。きれいな花嫁を見て感動して涙が浮かぶ姿さえ想像していた。
けれど、朱里の花嫁姿を見るより先に、私が花嫁??