結婚秒読みのアラサー女子、助けたカメに告られる。
「それから、みっちゃんに〝今もナギサのことが好きか〟と訊かれました。僕は〝はい〟と答えました」
「…………」
ポーズを変えないまま、私は自分の心臓が大きく脈打つのを感じた。静かな独白にはうそも虚飾もなくて、それがたまらなく嬉しかった。
「そうしたらみっちゃんが、このままだとあいつは今の恋人と結婚するだろう。今もナギサのことが好きなら、これが最後のチャンスだ。直接会って想いを伝えなさい。でないと一生後悔するぞ、とそう言って、彼はここの住所を教えてくれたんです」
一息に事情を説明して、リアムは黙った。私は両腕に頭を乗せたまま、心の中で大きく嘆息した。
(はぁ~~~……)
今になってすべての真相を知り、正直頭はかなり混乱していた。酔いはすっかり醒めていた。
「ちょっと待ってて」
気持ちを整理するため、私は立ち上がった。
テーブルの上を片付け、客人のためにとっておきの茶葉で紅茶を淹れた。じつはコーヒー党だった私が紅茶党になったのは、カメ吉くんの影響だ。イギリス人は紅茶ばかり飲んでいるという偏見があったが、彼から「外出先では普通にコーヒーも飲みますよ。むしろ紅茶は自宅用、コーヒーは外出用って感じです」と聞いてから、自分も真似したくなった。
普段好んで飲むのは癖のないセイロンだけど、今日はイギリス土産に友人がくれた有名ブランドの茶葉、ミルクティー好きなカメ吉くんのためにアッサムをチョイスした。
新鮮なお湯を薬缶でしっかり沸騰させて、ポットに一息に注ぐ。ミルクは温めた牛乳、砂糖はお好みで。
淹れたての紅茶に軽く口をつけて、リアムは「美味しいです」と言って微笑んだ。
私も自分のカップを手に彼の向かいに腰を下ろした。鼻先を近づけると、アッサムの深みのある良い香りがした。
「えっと、それで、リアムはいつから私のことが好きだったの?」
「それは、初めからです」
「え?」
「エタエルで、はじめましてと挨拶した時からです」
「いや、いやー。それはうそでしょ」
冗談みたいな台詞を聞いて、私は「アハハッ」と笑った。
「いったいどこに好きになる要素が? そもそもあの時挨拶したのはゲームで作ったアバターだったし。たしかあの時の私って、雪ダルマの被り物してなかったっけ?」
「あ、いえ……。あの、すみません。じつは僕、知っていました」
「え?」
「事前に叔父から、今度お世話になるファミリーだよって、みっちゃんとナギサの写真を見せてもらっていて……」
「え!!」
またも驚愕の新事実が飛び出し、私は「うそでしょ!」と叫んだ。
「…………」
ポーズを変えないまま、私は自分の心臓が大きく脈打つのを感じた。静かな独白にはうそも虚飾もなくて、それがたまらなく嬉しかった。
「そうしたらみっちゃんが、このままだとあいつは今の恋人と結婚するだろう。今もナギサのことが好きなら、これが最後のチャンスだ。直接会って想いを伝えなさい。でないと一生後悔するぞ、とそう言って、彼はここの住所を教えてくれたんです」
一息に事情を説明して、リアムは黙った。私は両腕に頭を乗せたまま、心の中で大きく嘆息した。
(はぁ~~~……)
今になってすべての真相を知り、正直頭はかなり混乱していた。酔いはすっかり醒めていた。
「ちょっと待ってて」
気持ちを整理するため、私は立ち上がった。
テーブルの上を片付け、客人のためにとっておきの茶葉で紅茶を淹れた。じつはコーヒー党だった私が紅茶党になったのは、カメ吉くんの影響だ。イギリス人は紅茶ばかり飲んでいるという偏見があったが、彼から「外出先では普通にコーヒーも飲みますよ。むしろ紅茶は自宅用、コーヒーは外出用って感じです」と聞いてから、自分も真似したくなった。
普段好んで飲むのは癖のないセイロンだけど、今日はイギリス土産に友人がくれた有名ブランドの茶葉、ミルクティー好きなカメ吉くんのためにアッサムをチョイスした。
新鮮なお湯を薬缶でしっかり沸騰させて、ポットに一息に注ぐ。ミルクは温めた牛乳、砂糖はお好みで。
淹れたての紅茶に軽く口をつけて、リアムは「美味しいです」と言って微笑んだ。
私も自分のカップを手に彼の向かいに腰を下ろした。鼻先を近づけると、アッサムの深みのある良い香りがした。
「えっと、それで、リアムはいつから私のことが好きだったの?」
「それは、初めからです」
「え?」
「エタエルで、はじめましてと挨拶した時からです」
「いや、いやー。それはうそでしょ」
冗談みたいな台詞を聞いて、私は「アハハッ」と笑った。
「いったいどこに好きになる要素が? そもそもあの時挨拶したのはゲームで作ったアバターだったし。たしかあの時の私って、雪ダルマの被り物してなかったっけ?」
「あ、いえ……。あの、すみません。じつは僕、知っていました」
「え?」
「事前に叔父から、今度お世話になるファミリーだよって、みっちゃんとナギサの写真を見せてもらっていて……」
「え!!」
またも驚愕の新事実が飛び出し、私は「うそでしょ!」と叫んだ。