結婚秒読みのアラサー女子、助けたカメに告られる。
「それとも、私に何か言うことがありますか」
相手が動揺するほどにこちらは気持ちが落ち着いて、私は相手の表情の変化を観察しながら、静かにカップに口をつけた。
―― 次の瞬間。
「すまないっ!」
テーブルに両手を突き、いきなり裕貴が詫びた。
「あれは、一時の気の迷いなんだ! 彼女から何を聞いたか知らないが、俺が本当に好きなのは君だけだ! これだけは信じてくれ!」
「…………」
私は無言だった。状況がわからない以上、下手なことは言わないほうがいい。
私の無言をどう受け取ったのか、裕貴は私の顔をじっと見つめ、「まさか本気で、俺と別れるつもりじゃないよな……?」と言った。
「よく考えてみろよ。俺があんな若いバイトの子に本気になるわけがないじゃないか。そもそも俺がプロポーズしたのは君なんだ。本命は君なんだから、ガキのたわ言なんて耳を貸す必要ないんだよ」
「…………」
私が黙っている間に、裕貴は自らいろいろと白状してくれた。
〝彼女〟は営業事務に派遣されてきた二十歳の〝コジマさん〟で。
ランチを奢ってあげたらとても懐かれて。
仕事の相談に乗っているうちにいい雰囲気になって、一度だけホテルへ行って。
彼女の部屋にも数回泊まって。
もうすぐ私と結婚するのだから、いいかげん別れなければいけないと思ったけれど、好きだから別れたくない、一緒にいたいと目の前で泣かれると冷たく突き放すこともできず。
けれどさすがに婚約すれば諦めてくれるだろうと、今回私にプロポーズした、と。
相手が動揺するほどにこちらは気持ちが落ち着いて、私は相手の表情の変化を観察しながら、静かにカップに口をつけた。
―― 次の瞬間。
「すまないっ!」
テーブルに両手を突き、いきなり裕貴が詫びた。
「あれは、一時の気の迷いなんだ! 彼女から何を聞いたか知らないが、俺が本当に好きなのは君だけだ! これだけは信じてくれ!」
「…………」
私は無言だった。状況がわからない以上、下手なことは言わないほうがいい。
私の無言をどう受け取ったのか、裕貴は私の顔をじっと見つめ、「まさか本気で、俺と別れるつもりじゃないよな……?」と言った。
「よく考えてみろよ。俺があんな若いバイトの子に本気になるわけがないじゃないか。そもそも俺がプロポーズしたのは君なんだ。本命は君なんだから、ガキのたわ言なんて耳を貸す必要ないんだよ」
「…………」
私が黙っている間に、裕貴は自らいろいろと白状してくれた。
〝彼女〟は営業事務に派遣されてきた二十歳の〝コジマさん〟で。
ランチを奢ってあげたらとても懐かれて。
仕事の相談に乗っているうちにいい雰囲気になって、一度だけホテルへ行って。
彼女の部屋にも数回泊まって。
もうすぐ私と結婚するのだから、いいかげん別れなければいけないと思ったけれど、好きだから別れたくない、一緒にいたいと目の前で泣かれると冷たく突き放すこともできず。
けれどさすがに婚約すれば諦めてくれるだろうと、今回私にプロポーズした、と。