結婚秒読みのアラサー女子、助けたカメに告られる。

 本当はわかっている。彼と一緒にいるかぎり、私はずっと失望と落胆を味わい続けるのだと。
 だけど恋愛なんて、こんなものじゃないだろうか。みんな一つや二つ、三つや四つ、交際相手への不満がある。
 裕貴なんてぜんぜんいい。私が昔付き合っていた男はどれもロクなものじゃなかった。
 社会人になって最初の彼氏、カワカミレイタという男は、今思い出してもムカつくくらいの自己中だった。義理で参加した合コンで出会った彼は、有名上場企業に勤めるエリートだった。交際は向こうの猛アプローチで始まった。
 付き合いたての頃は私をお姫様扱いしていたくせに、交際半年も経つと、あからさまに態度が変わった。機嫌がコロコロ変わり、機嫌を損ねるとデート中でも平気で私を置き去りにして帰ったりするようなヤツだった。
 その次に付き合ったシマザキショウヘイはオンラインゲームで知り合った相手だけど、レイタに懲りた私は今度は控えめな性格の人にしようとショウヘイを選んだ。
 でもこれも間違いだった。彼、ショウヘイは控えめなんじゃなく、ただ自分が責任を負いたくないだけの他責思考の人間だった。一緒に始めたゲームが面白くないと私のせいにし、仕事がうまくいかないのは同僚と上司のせいだと愚痴り、とにかくすべてを他人のせいにした。
 不平不満の塊のような男と必死に縁を切り、次に出会ったのが裕貴だ。歴代彼氏と比べて、情緒が安定しており何事にも前向きで明朗快活、な彼が最高の男に見えてもしょうがないじゃないか。
「……思えば私って、とことん男を見る目がないのかも」
「ナギサは本当に、今の彼と結婚するんですか?」
「…………」
「話を聞くかぎり、今の彼もけっして完璧な恋人ではないですよね。むしろ良くない相手のように思います」
「それは、私が彼の短所ばっかり愚痴っちゃったから……。ちゃんと彼にも良いところはたくさん……」
「ナギサ」
 琥珀を思わせる綺麗な瞳が、私をまっすぐに見つめる。
 決意を滲ませた表情で、リアムが言った。
「僕ではだめですか。僕は、あなたの恋人になれませんか?」
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