君の世界から抜け出せない

溶けていく

放課後、私は勉強するために図書室に来ていた。

先ほどから斜め向かいに座る男子からの視線が痛いしうざい。

私が顔を上げると、わかりやすく顔を赤く染めて目を逸らす。

私がノートに視線を戻すと、また感じる視線。

はぁ。

私の気にしすぎなのかもしれないけど、やっぱりこれはやだな。
でも図書室の少ない自習席はすでに生徒で埋まってる。

どうしよう。

すると私の隣に座っていた女子生徒が律くんに席を譲った。

「ありがとう。」
「律、これ借りだからね。今度デートして。」

「んー、気が向いたらな。」
「何それ〜!絶対だからね!」

さっきまで私の隣に座っていた女子生徒は短いスカートをふわふわと揺らして去っていった。

「よくこの図書室来てるよね。百合ちゃん。
あ、百合の方が良かった?」
「え、あ、百合でいいよ。」

急に話しかけてくるからびっくり。

「今日さ、ぶつかられた時痛かった?」
「え?全然!!痛くなんて、、、」

私がそう言うと優しく顔を緩める律くん。

恥ずかしくて、赤くなった顔を律くんに見られたくなくて私は必死に勉強に集中する。

ふ、と隣で笑う声がした。

私たちはそのまま流れで閉館まで勉強した。

私が帰ろうとすると律くんは「またね」といって先に帰ってしまった。

少し寂しいって思ってしまう。

私は律くんが私の隣に来てから冬馬のことが頭をよぎらなかったことに全く気づかなかった。


私の家であるマンションに着きエレベーターに乗ると冬馬も入ってきた。

相変わらず私を見向きもしない。

律くんが優しく接してくれたからだろうか。

いつもより冬馬の態度から受けるダメージが大きい気がする。

あの頃はこんなんじゃなかったんだけどな。
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