チョコより甘い光〜バレンタインチョコの行方〜

February 14

February 14

五連勤ともなると、さすがに疲労は溜まってくる。

それでも今年は、バレンタインのチョコを渡す日だ。

朝から美月は、どこかそわそわして落ち着かなかった。

リビングへ行くと、理久はすでにコーヒーを飲みながら書類に目を通していた。

難しい表情をしている。

「おはよう」

美月に気づいた途端、その表情がふっとやわらぐ。

相変わらず、朝から爽やかで、清々しいほどの王子っぷりだった。

「おはようございます」

寝起きの自分が急に恥ずかしくなり、美月は挨拶だけしてそのまま洗面所へ向かった。

鏡に映るのは、整っていない髪と、化粧っ気のない素顔の自分。

まるで、シンデレラの魔法が解けた姿のようだった。

とてもではないが、王子の隣には並べない。

バレンタインチョコを渡すタイミングは、どう考えても朝ではなかった。

* * *

病棟に早めに着くと、後輩が研修医にチョコを渡している姿を見かけた。

あの中身が、昨日一緒に作ったチョコの一つであることは明白だった。

本命なのか、義理なのかは判別できない。

美月は何も見なかったことにして荷物を置き、支度を始めた。

やはり二月十四日の病棟は、朝からどこか浮ついている。

内科の医師が顔を出すたびに、誰かがチョコを渡している姿を見かけた。

「先生、患者さんからチョコいただいていましたね」

「なんで知ってるの?」

「患者さんから聞きましたよ。イケメン先生にチョコを渡したって、喜んでいました」

そんな会話まで聞こえてくる。

昼休憩になると、美月も後輩たちから友チョコをもらった。

食堂でも、チョコを渡す姿をあちこちで見かける。


理久も、もらっているのだろうか。


美月はそんなことを考えながら、昼ごはんを食べていた。
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