チョコより甘い光〜バレンタインチョコの行方〜
side 及川
なんで。
なんで俺が、こんな目に遭うんだ。
及川はエレベーターに乗り込み、10階のボタンを押した。
そもそも外科の患者も入院していない10A病棟に、なぜ自分が行かなければならないのか。
心の中ではそう思う。
けれど、藤崎先生に業務命令とまで言われ、10Aの看護師たちにも行くよう促されてしまった以上、まずは誤解を解きに行くしかない。
10A病棟のナースステーションに着くと、まだ残っている看護師たちと、桐谷先生、内科レジデントが話をしていた。
桐谷は理久の幼馴染で、同じ病院に勤める内科医だ。
「お疲れ様です」
及川が声をかけると、その場にいたスタッフが一斉にこちらを向いた。
「あれ? 及川。どうした?」
声をかけてきたのは桐谷先生だった。
どうした、と聞かれても、及川自身にも来た理由がわからない。
返事に困っていると、何かを察したように看護師たちが反応した。
「バレンタインですね?」
その言葉に、桐谷先生がすぐさま食いついた。
「バレンタイン? 患者じゃなくて?」
「今、うちに外科の患者はいませんよ」
「あ、そうなの? じゃあ、バレンタインって何?」
桐谷先生は、明らかに興味津々な顔をしている。
及川の胸に、ますます嫌な予感が広がった。
「綾瀬さん、昨日、及川先生のためにバレンタインチョコ作ってましたもんね」
嬉しそうにそう話す後輩看護師の声に、真っ先に反応したのは綾瀬だった。
綾瀬が、一瞬だけ目を丸くする。
「え? 綾瀬、及川にチョコ渡すの?」
桐谷先生が面白がるように綾瀬へ聞いた。
綾瀬はバツの悪そうな表情を浮かべ、ゆっくりと立ち上がる。
「及川先生、ちょっといいですか?」
「え、あ、ああ……うん」
綾瀬はそのままナースステーションを出ていく。
及川も、ついていくしかない。
背後では、後輩たちが興味津々に綾瀬の方を見ている。
桐谷先生は、明らかに笑いをこらえた顔で及川を見ていた。
及川は目を泳がせながら、綾瀬の背中を追った。
なんで俺が、こんな目に遭うんだ。
及川はエレベーターに乗り込み、10階のボタンを押した。
そもそも外科の患者も入院していない10A病棟に、なぜ自分が行かなければならないのか。
心の中ではそう思う。
けれど、藤崎先生に業務命令とまで言われ、10Aの看護師たちにも行くよう促されてしまった以上、まずは誤解を解きに行くしかない。
10A病棟のナースステーションに着くと、まだ残っている看護師たちと、桐谷先生、内科レジデントが話をしていた。
桐谷は理久の幼馴染で、同じ病院に勤める内科医だ。
「お疲れ様です」
及川が声をかけると、その場にいたスタッフが一斉にこちらを向いた。
「あれ? 及川。どうした?」
声をかけてきたのは桐谷先生だった。
どうした、と聞かれても、及川自身にも来た理由がわからない。
返事に困っていると、何かを察したように看護師たちが反応した。
「バレンタインですね?」
その言葉に、桐谷先生がすぐさま食いついた。
「バレンタイン? 患者じゃなくて?」
「今、うちに外科の患者はいませんよ」
「あ、そうなの? じゃあ、バレンタインって何?」
桐谷先生は、明らかに興味津々な顔をしている。
及川の胸に、ますます嫌な予感が広がった。
「綾瀬さん、昨日、及川先生のためにバレンタインチョコ作ってましたもんね」
嬉しそうにそう話す後輩看護師の声に、真っ先に反応したのは綾瀬だった。
綾瀬が、一瞬だけ目を丸くする。
「え? 綾瀬、及川にチョコ渡すの?」
桐谷先生が面白がるように綾瀬へ聞いた。
綾瀬はバツの悪そうな表情を浮かべ、ゆっくりと立ち上がる。
「及川先生、ちょっといいですか?」
「え、あ、ああ……うん」
綾瀬はそのままナースステーションを出ていく。
及川も、ついていくしかない。
背後では、後輩たちが興味津々に綾瀬の方を見ている。
桐谷先生は、明らかに笑いをこらえた顔で及川を見ていた。
及川は目を泳がせながら、綾瀬の背中を追った。