チョコより甘い光〜バレンタインチョコの行方〜

side 美月

美月はその背中を見送りながら、随分と軽率なことをしてしまったと反省した。

理久にどう説明するか。

いや、説明というより、もはや言い訳でしかない。

ナースステーションに戻ると、まだ後輩たちが残っていた。

さっさと帰ってくれればいいのに、明らかに感想待ちの顔をしている。

「綾瀬さん、渡せました?」

わくわくと胸を躍らせる後輩に、美月は嘘の上塗りをする羽目になった。

これ以上、余計なことは言いたくない。

多くを語らず、さっさと仕事を切り上げて帰るしかない。

「私、帰るね」

半ば逃げるように輪から外れようとすると、桐谷先生が含みのある顔で声をかけてきた。

「お疲れ、綾瀬」

その目が、妙に楽しそうだった。


桐谷先生がどこまで理久との関係を知っているのかはわからない。

けれど少なくとも、チョコの相手が及川ではないことは、わかっているようだった。
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