溺愛、しないで
私は無視して通話終了ボタンを押す。
すぐにまたかかってくるが、私は携帯をベッドに投げて学校へ行く準備を始めた。
──私にはお父さんがいない。
物心つく前に両親が離婚したから。
そこからお母さんと二人で暮らしてるけど、「仕事で忙しい」なんて言って、家に帰ってくることはない。
…………寂しい。
慣れているはずの静かな部屋に惨めな思いが込み上げる。
私はそれを振り払うように顔を洗い、制服に着替えた。
朝はお腹空かないから食べない。
「え、まだ携帯鳴ってる……怖」
私は携帯の電源を切って鞄に入れ、いつものように誰もいない部屋を出たのだった。