独占愛は夜より深く。
「緊張してる?」

「……そりゃ、するよ」

「だよね。いきなり暴走族のアジトだし」

くすっと笑う声は軽い。
その軽さのおかげで、少しだけ肩の力が抜ける。

「でも安心して。少なくともここにいる間は、誰も紗菜ちゃんに手出しできないから」

「どうして?」

「総長が怖いから」

冗談っぽく言っているのに、なぜか目は笑っていなかった。

私は思わず、話している要のほうを見る。
月城要は、こちらに背を向けているはずなのに、まるで全部わかっているみたいな空気をまとっていた。

「要って……昔からああなの?」

「どこからが昔かによるけど」

「誰にでも、あんな感じ?」

そう聞いた瞬間、碧が少しだけ目を丸くした。
それからおかしそうに笑う。

「まさか。逆だよ」

「逆?」

「紗菜ちゃんにだけ、あんな感じ」

胸がどくんと跳ねる。

碧は頬杖をつきながら、私をのぞき込んだ。

「総長ね、普段はもっと冷たいよ。必要以上に誰かに触れることもないし、あんなふうに守るって言い切ることもない」

「……」

「でも紗菜ちゃんには、ずっと必死」

その言葉が、やけに心に残る。
知りたくなかった。
でも、少しだけうれしいと思ってしまう自分がいる。

「ねえ」

碧の声が少しだけ落ちた。
気づけば、さっきより距離が縮まっている。

「紗菜ちゃんは、総長のことどう思ってるの?」

まっすぐ聞かれて、息が詰まる。

どう思っているかなんて、自分でもわからない。
怖い。危ない。強引。
なのに、守られると安心してしまう。
目が合うたび、胸が苦しくなる。
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