独占愛は夜より深く。
唇が離れたあとも、しばらく息がうまくできなかった。

要の熱がまだ近くに残っていて、指先までじんと痺れている。
見上げれば、彼の目はさっきまでよりもずっとやわらかくて、でもその奥には消えない独占の熱があった。

「顔、すごいことになってる」

低く笑う声に、恥ずかしさで胸がいっぱいになる。

「……誰のせい」

「俺」

平然と言われて、もう何も返せない。
また何か言われたら、たぶん本当に立っていられなくなる。

そのときだった。

倉庫の外で、タイヤが地面を強く擦る音がした。
続いて、慌ただしい足音。
さっきまでの甘い空気が、一瞬で張りつめる。

要の表情が変わった。

熱を帯びていた目が、一気に冷える。
私に触れていた手も、今度は守るための強さに変わった。

「下がってろ」

短い声と同時に、倉庫の扉が勢いよく開く。

「総長!」

飛び込んできたのは恒一だった。
息が少し上がっていて、いつもの余裕が薄い。

「西側に動きあり。向こう、もう場所を嗅ぎつけてる」

「数は」

要の声は驚くほど静かだった。

「十人以上。たぶん陽動だ。本命は別にいる」

その後ろから、伊織も入ってくる。
手には折りたたまれた紙。
地図のようだった。

「やはり狙いは倉庫ではありません。紗菜さんが持っているものです」

その言葉に、空気がさらに重くなる。

私は無意識に制服の内ポケットを押さえた。
兄の部屋から持ち出した、小さな鍵。
やっぱりこれが原因なんだ。

要がその動きを見逃すはずもなかった。
鋭い目が、一瞬だけ私の胸元へ落ちる。
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