独占愛は夜より深く。
「……そうだ」

要のその一言が、胸の奥に冷たく落ちた。

地下室の空気が急に遠くなる。
息の仕方までわからなくなって、私はただ要の顔を見つめることしかできなかった。

月城。
その名前が意味するもの。
兄の死につながる帳簿。
裏の金の流れ。
そして、その中心にある要の家。

頭ではまだ整理できていないのに、心だけが先に傷ついていく。

「じゃあ……何」

掠れた声が、自分のものじゃないみたいだった。

「最初から知ってたの」

要は黙った。
その沈黙だけで、答えは十分だった。

胸の中で、何かが音を立てて崩れる。

「なんで……」

唇が震える。
怒りなのか、悲しみなのか、自分でももうわからない。

「なんで今まで言わなかったの」

やっと絞り出した問いに、要はまっすぐ私を見る。
逃げない。
でも、それが余計につらい。

「言えば、おまえは俺から離れると思った」

低い声。
いつもみたいに静かなのに、今は苦しそうだった。

「当たり前でしょ!」

思わず声が響く。
地下室の壁にぶつかって、痛いくらい返ってくる。
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