独占愛は夜より深く。
第六章
警報音が、地下の空気を切り裂いた。
さっきまで感情でいっぱいだった胸が、今度は別の意味で強く鳴る。
現実に引き戻される。
ここは泣いて立ち止まれる場所じゃない。
「行くぞ」
要の声は低く、はっきりしていた。
その手が私の手を包む。
強いのに、引きずるみたいな乱暴さはない。
ちゃんと私がついていける速さを知っている手だった。
伊織が帳簿と記録媒体を抱え、恒一が前を、碧が後ろを警戒する。
月影の四人は何も言わなくても動きがそろっていた。
地下の廊下を走る。
古い床が小さく軋み、警報音がどこまでも追いかけてくる。
冷たい空気の中で、要の手の熱だけがやけにはっきりしていた。
「要……っ」
「息、合わせろ」
振り向かないまま落ちた声に、私は必死でうなずく。
苦しい。
でも離されたくない。
そんなことを思っている自分に、また胸が痛くなる。
階段へ差しかかったところで、恒一が足を止めた。
「上、気配ある」
短いひと言で全員の空気が変わる。
要はすぐに私を背中側へ引き寄せた。
その動きがあまりにも自然で、守られる側だと嫌でも思い知らされる。
碧が小さく笑う。
「正面はだめだね。裏の搬出口使おう」
「こっちです」
伊織が別の通路を示す。
迷いのない声。
さっきまで帳簿を見ていた人とは思えないくらい、落ち着いている。
狭い通路へ折れると、灯りはさらに少なくなった。
さっきまで感情でいっぱいだった胸が、今度は別の意味で強く鳴る。
現実に引き戻される。
ここは泣いて立ち止まれる場所じゃない。
「行くぞ」
要の声は低く、はっきりしていた。
その手が私の手を包む。
強いのに、引きずるみたいな乱暴さはない。
ちゃんと私がついていける速さを知っている手だった。
伊織が帳簿と記録媒体を抱え、恒一が前を、碧が後ろを警戒する。
月影の四人は何も言わなくても動きがそろっていた。
地下の廊下を走る。
古い床が小さく軋み、警報音がどこまでも追いかけてくる。
冷たい空気の中で、要の手の熱だけがやけにはっきりしていた。
「要……っ」
「息、合わせろ」
振り向かないまま落ちた声に、私は必死でうなずく。
苦しい。
でも離されたくない。
そんなことを思っている自分に、また胸が痛くなる。
階段へ差しかかったところで、恒一が足を止めた。
「上、気配ある」
短いひと言で全員の空気が変わる。
要はすぐに私を背中側へ引き寄せた。
その動きがあまりにも自然で、守られる側だと嫌でも思い知らされる。
碧が小さく笑う。
「正面はだめだね。裏の搬出口使おう」
「こっちです」
伊織が別の通路を示す。
迷いのない声。
さっきまで帳簿を見ていた人とは思えないくらい、落ち着いている。
狭い通路へ折れると、灯りはさらに少なくなった。