やり直しの天才少女は、隠れた天才をあつめる
「⋯⋯え?」
思わず、後ろを振り返る。
スクリーンには、二つの数字が表示されていた。
一つは私のチームの得票数。
そしてもう一つは――。
私の数字の何倍もある、瞬のチームの得票数。
「⋯⋯嘘」
私が――負けた?
そんなはずない。
だって、私は――。
勝負で負けたことなんて、一度も――
――ポンッ。
そんな気の抜けた音とともに、いきなり私の前に何かが現れた。
「――えっ!?」
ふわふわの毛。
星空のようなキラキラの目。
木の葉の形をした耳。
星が散りばめられた、雲のようなモコモコの尻尾。
頭の真ん中には、小さな星の飾り。
(⋯⋯ぬいぐるみ?)
そのぬいぐるみは、私の目の前で宙に浮いていた。
「なぁ。あんた、悔しいやろ?」
突然響いたその声に、私は目を丸くした。
「⋯⋯しゃ⋯⋯しゃべった!?」
ぬいぐるみなのに。
動くし、喋るし⋯⋯!?
(⋯⋯何なの、これ⋯⋯)
何が起こってるのか分からず、私はその場に固まった。
けれど、ぬいぐるみはそんな私の反応など一切気にする様子もなく――、
「――もういっぺん、勝負せぇへん?」
そんなことを言った。
「⋯⋯勝負?」
思わず訊き返す。
すると、ぬいぐるみのおでこにある小さな星の飾りがキラッとまぶしく光った。
――その瞬間。
突然、周りの景色が動き出した。
体育館の音がザザザーというホワイトノイズに変わっていく。
スクリーンの数字が、まるで逆再生みたいに減っていく。
人の動きが、まるで映像を巻き戻すみたいに戻っていく。
「なに、これ⋯⋯!?」
私の体まで後ろへ引っ張られ、どこかへと吸い込まれていく。
そして――。
視界は真っ白になった。