王子様になりたい ~王子様の恋愛指南~
おまけ:第1話
私——齋藤慎司は、昔から周囲の関心を引きやすい人間だった。
容姿や振る舞いを褒められることが多く、いつしか周囲からは「王子様」と呼ばれるようになっていた。
それは、社会人になった今も変わらない。
入社して一週間。研修として名刺交換の練習が設けられた。
レクチャーを受けた後、先輩を相手に実践演習を行うものだ。
私は、特に苦労することはなく先輩方から合格をいただいた。
「あ、あの藤島明花です。よ、よろしくお願いいたします」
私の横で、全身が震えている同期——藤島明花が先輩から指導を受けていた。
その後、藤島さんは何度か実践演習を繰り返すが全て失敗。
本人曰く、緊張で敬語が出てこなくなるらしい。
彼女は、明日の補習対象になった。
「ど、どうしよう。せっかく社会人になったのにこのままだとクビになってしまう……」
余程追い詰められているのだろう。会議室の隅で俯きながら、一人で敬語を呟いている。
その姿を見ていると、どうしても放っておけなかった。
「よかったら、一緒に練習しようか」
見かねた私が声をかければ、藤島さんが顔を上げた。よく見ると、目が潤んでいる。
「いいんですか……!」
「もちろん、同期として私を頼ってほしい」
「ありがとうございます!……よろしくお願いします」
ほっとしたのか、藤島さんは胸に手を当てて朗らかに笑った。
研修ではあれほど緊張していたはずなのに、少し話せばこんなにも素直な笑顔を見せてくれるのか。
私に向けられたその笑顔が——なぜだか心に残った。
容姿や振る舞いを褒められることが多く、いつしか周囲からは「王子様」と呼ばれるようになっていた。
それは、社会人になった今も変わらない。
入社して一週間。研修として名刺交換の練習が設けられた。
レクチャーを受けた後、先輩を相手に実践演習を行うものだ。
私は、特に苦労することはなく先輩方から合格をいただいた。
「あ、あの藤島明花です。よ、よろしくお願いいたします」
私の横で、全身が震えている同期——藤島明花が先輩から指導を受けていた。
その後、藤島さんは何度か実践演習を繰り返すが全て失敗。
本人曰く、緊張で敬語が出てこなくなるらしい。
彼女は、明日の補習対象になった。
「ど、どうしよう。せっかく社会人になったのにこのままだとクビになってしまう……」
余程追い詰められているのだろう。会議室の隅で俯きながら、一人で敬語を呟いている。
その姿を見ていると、どうしても放っておけなかった。
「よかったら、一緒に練習しようか」
見かねた私が声をかければ、藤島さんが顔を上げた。よく見ると、目が潤んでいる。
「いいんですか……!」
「もちろん、同期として私を頼ってほしい」
「ありがとうございます!……よろしくお願いします」
ほっとしたのか、藤島さんは胸に手を当てて朗らかに笑った。
研修ではあれほど緊張していたはずなのに、少し話せばこんなにも素直な笑顔を見せてくれるのか。
私に向けられたその笑顔が——なぜだか心に残った。