王子様になりたい ~王子様の恋愛指南~

おまけ:第2話

 入社して三ヶ月目。私は、月末の営業成績で上位五人に入った。
 新人としては異例の快進撃。当然、賞賛の声が上がる。
 けれど、それと同じくらい……同僚から反感も買っていた。
 今も先輩から睨まれており、どうにも居心地が悪い。
「齋藤さん、凄いですね。同期として誇らしいです」
 澄んだ声が、耳に心地よく響いた。
 その声に振り向けば、藤島さんが部署内チャットを前に喜んでいる姿が目に入った。
「ありがとう。とても嬉しいよ」
 これまで多くの人から嫌というほど褒めてもらってきた。
 その賞賛にどんな意味を含めていようとも、もう私の感情は動かない。
 だから、つい社交辞令のような返し方をしてしまう。
 それに気づいたのか、藤島さんは少しだけ顔をしかめた。
「今のは、本心ですから」
 藤島さんは、本心だと強調するように語尾を強めた。その健気な主張に思わず笑ってしまう。
 私の笑顔を見た彼女は、想いが伝わったことが嬉しかったのか、ふわりと微笑んでくれた。
「私も頑張りますから、見ててくださいね」
 細められた目には、私への尊敬と……まっすぐな憧れが宿っていた。
 思えば——その純粋さに惹かれたのかもしれない。
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