恋のメンテナンスは必要ですか?
「まだ事情を聞けてねぇってことか」
「うん……」
彩の話を聞いて樹は「んー……」と黙り込む。
「やっぱり、直接聞くしかなくね?」
「それができないから困ってるんでしょー……」
「うーん、そうかもしれねぇけど。結局、抱え込んだって答えは出ねぇし。ならさっさと聞いたほうが彩もスッキリすんだろ」
樹の言うことはもっともだった。
だけど、それを聞いて……もし本当は本命はあっちで自分は遊びだったとしたら。
神崎さんなら自宅を二つ持ってる可能性だってある。
疑いたくないのに、次から次へと可能性が浮かんできて落ち込む。
神崎さんのことを信用しきれていない自分が嫌になる。
「なんで信用できないんだろ……」
彩の悩ましげな言葉に樹は不思議そうに返した。
「お前、自分の彼氏が他の女といたらそりゃ疑うだろ。しかも車で二人きりとか怪しさ満点すぎるわ。」
当たり前だ、と自分の気持ちを肯定してくれる樹に感謝の気持ちが溢れた。
温かい言葉に落ち込んでいた気持ちも少し元気になる。
「本当に、樹っていい奴だよね」
「やっと気づいたのかよ。まぁ、とにかく聞いてみろよ。それでもし別れることになったら、俺が彩を責任取って貰ってやるよ」
「……何言ってんの、ばか。」
冗談なのか本気なのかもわからないトーンで話す樹に呆れ、笑った。
彩が笑うと樹も安心したように笑う。
「俺は彩に幸せでいてほしいだけだ」
そう本気で話す親友に、これ以上言葉は返せなかった。
ただ樹の優しい気持ちに「ありがとう」と聞こえないような小さな声で呟いた。