恋のメンテナンスは必要ですか?
第三十八話 「ドラマ的展開」
休憩時間を終えて机から立ち上がる。
視界が少し揺れてバランスを崩し、机にもたれかかった。
「彩、大丈夫か?」
「なんか頭痛くて……」
様子を見ていた樹は何か気づき、常備された救急箱から体温計を取り出し、彩に渡す。
「測ってみろ」
「いいよ……ただの貧血だし」
「測らないなら俺が服の中に手を突っ込んで測るぞ」
「わ、わかったって測るから」
樹の強行発言に困り、体温計を受け取る。
ピッと起動音を鳴らすと脇に体温計を挟んだ。
なんだか体温計を測り出すと熱があるような気分になってくる。
ピピピッ
測り終わった体温計を取り出すと彩が見る前に、隣にいた樹が強奪。
体温計を覗き込む。
「……やっぱ熱あるじゃねぇか」
「……え?」
体温計の表示は38.4℃。
いつの間にか発熱してしまっていた。
彩は焦った様子で「午後からの予約が……」と話すが樹は当たり前のように早退を勧める。
「熱のあるやつに口腔内触られるほうが患者は嫌だろ」
「う……」
「ほら、さっさと帰る準備しろ。俺は送っていってやれねーからタクシーでいいか?三樹さーん」
樹は淡々と彩の早退対応を進めた。
回らない頭では抵抗することもできず、彩は言われるがまま早退。
樹の呼んだタクシーで翔のマンションへと向かった。
この早退が彩の頭痛を酷くすると知らずに。