恋のメンテナンスは必要ですか?
——夢かと思った。
あまりの出来事に言葉も出ない。
ただ体の奥から幸せが湧き上がり。
彩の瞳を潤ませる。
「どう……して」
翔は彩の言葉の意味に一度悩み、視線を戸惑わせた。
「私なんかで、いいん、ですか……」
翔はその言葉を聞いて愛おしそうに眉を下げた。
床につけていた膝を上げ、立ち上がる。
「彩だから、いいんだよ」
ふわりと、翔は彩の頬を撫でた。
翔の優しく温かい手のひら。彩は嬉しくて頬を赤く染めた。
「……色々言ったけど、素直に言ってしまうと彩のそばにいられる確証が欲しかったんだ。」
「確証ですか?」
「うん。彼氏だと彩をまた狙う奴が出てくるかも知れない、でも夫なら手も出しづらいだろ?」
「夫……」
想像してしまった。
翔と自分が結婚して夫婦に。
(翔さんが私の夫)
嬉しいのに、恥ずかしくて頬が赤くなる。
「っ……」
「あはは、真っ赤だ」
少し恨めしそうに翔を見つめると彼は少しイジワルな笑みを浮かべた。
彩の手を退かし、そっと唇を落とす。
彩を抱きしめたまま。
願うように言った。
「葉山彩さん、俺と結婚してくれますか?」
その言葉に迷うことなく返す。
「……っはいっ」
翔は心の底から安心したのか泣きそうな笑みを浮かべ、彩を強く抱きしめた。
それに応えるように、彩も翔を抱きしめる。
ゆっくりと離れる二人。
翔は箱にはめられた輝く指輪を取り外し、彩の指にはめた。
「似合ってる。」
「……いつの間に指輪のサイズを?」
「……内緒。」
二人は誓うように唇を重ねる。
隠れるように。
大聖堂の端の通路では彩の両親が涙を流しながら二人を見つめていた。