恋のメンテナンスは必要ですか?
最終回 「恋のメンテナンスは必要ですか?」
「お父さんとお母さん知ってたの?!」
「翔くんに少し前から話を受けていてな。いやぁー娘さんをくださいのくだりを本当にやれるとは。本当に嬉」
「お父さん、娘はやらんって言ってみたいとか言ってたのに。実際その場面になったらめり込むってくらい頭床に擦り付けて。傷口開くと思ってヒヤヒヤしたんだから」
「あははは……すまんすまん」
翔からのプロポーズの後、通路横でこちらを見つめて泣いていた両親を見つけ、彩はギョッとした。
驚いて父と母を呼ぶと「あやぁぁぁ……おめでとうぅぅ……」とプロポーズされた娘より本気でなく父。
母は涙が引っ込み、呆れた様子で父を見つめていた。
四人で大聖堂を出て、神秘的に照らされた空間を見つめながら話す。
「じゃあ翔さんが忙しそうにしてたのも」
「仕事の調整と個々の打ち合わせで忙しくて……」
「もしかしてこの前、家で彰人さんと話してたのも?」
「……ごめん」
申し訳なさそうな翔。
あの日は今日について話していたらしい。
わざわざ家で話すことでもなかったのに、申し訳なかったと謝られる。
「ずっと、私のために頑張ってくれてたんですね」
自分のために動き続けてくれていたことに愛おしさが溢れ、翔を見つめると優しく見つめ返してくれた。
「彩のことを考えるのは楽しかったよ。仕事をすることが嫌になるくらいだった」
「あははっそれは大変そうです」
仲良く話す私たちを見て父と母も笑っていた。
今日という日を忘れることはないだろう。
「さぁ、そろそろ帰りましょうか。ほら、お父さんもさっさと動いて」
「待ってくれ、大聖堂の写真を思い出に……」
「もう。もっと早く撮れば——」
翔と彩は目を合わせ、笑い合う。
父と母の言い合いもまた思い出かな、とクスクスと笑った。