恋のメンテナンスは必要ですか?
第十話 「星野樹」
メタリックブルーのSUV。
樹はハンドルに手を置きながら、助手席で寝てしまった想い人を信号待ちの合間にチラリと見つめる。
「……ぐっすり寝てんじゃねーか」
彩の寝息が聞こえる車内、樹は彼女の頬にそっと触れる。
愛らしい彩の寝顔に、樹の胸がドキドキと鼓動した。
同時に思い出す一週間前の記憶。
「……あいつ、お前のなんなんだ」
1週間前、午後の診察。
新規患者としてきた【神崎翔】という男。
樹は先に患者対応へ入っていたので彩と翔がどんな会話をしていたのか知らなかった。
道具を取るため通りかかった彩の診察室のガラス窓から、彼女と翔が淡い雰囲気を出していたのを見てしまったのだ。
到底、患者と歯科衛生士だけの関係だというには違和感のある光景。
樹の中にモヤモヤとした感情が生まれた。
「……やっと、俺の番が回ってきたと思ったのに」
樹の眉間に皺が寄る。