恋のメンテナンスは必要ですか?

 
 ……皮肉なものだ。
 助けられた相手に苦しめられるなんて。
 
 それを知って、俺は身動きが取れなくなった。

 助けてやりたいと動いても、それは彩にとっていいことではないだろう。
 むしろ、嫌な気持ちにさせるかもしれない。

 彩に同じような男だと思われてしまいそうで……怖くなったんだ。

 自分にできるのはただ彩のそばに友達としていてやることだけ。
 そう思ったら悔しさともどかしさで顔が歪んだ。
 苦しいくらい締め付けられる感情に
 
 気づいた。

 俺は彩が好きなんだと。

 
 ……それから。

 俺は彩のそばにいるためだけに同じ職場に就職した。

 いつの間にか彩は一人で束縛彼氏とも決着をつけ、
 色々あったみたいだが元彼によるストーカー被害も一旦解決したらしい。
 
 それでも安心はまだできないと思う。
 解決してからまだ数ヶ月。
 人の関わる物事はどう動くか完璧には制御できない。


 だけど、やっと。
 
 彩が誰のものでもなくなった。
 やっと彩にアプローチをかけることができる。
 自分の想いをゆっくりと彩が嫌な気持ちにならないように伝えていくつもりだったのに。

 
 ……焦るのが、一番彩には良くないってわかっていても。

 「こんなの。……焦るに決まってる」


 安心して眠る彩の横で一人。
 深くため息を吐く恋する男がそこにいた。
 
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