恋のメンテナンスは必要ですか?
第十一話 「信用できる男」
彩の家の前にメタリックブルーのSUVが停まっている。
眠たそうにあくびをした彩は家まで送ってくれた樹に「寝ちゃってごめん」と謝った。
「せっかく車に乗せたんだから寝てもらわないと乗せ損だ」
「なにそれ。……ふふっ」
彩の柔らかな笑顔に樹の頬も緩む。
「明日の朝も迎えに来てやろうか?」
「いらないよ。朝一緒に車出社なんてしたら周りに付き合ってるって勘違いされるし」
「……俺はそれでもいいけど?」
樹の言葉に息を止めた。
茶化すように出されたその言葉が本気で言っているように聞こえて……。
そんなわけないと自分に言い聞かせた。
「またそうやって茶化す……」
樹は少しの間の後に微笑み、「また明日な」と手を振った。
彩も「また明日。送ってくれてありがとう」と言って樹を送り出す。
「……冗談、だよね?」
気のせいだと思う。
樹の顔が悲しげに見えたなんて。
彩は考えるのをやめた、鍵を開けて家へ入る。
*
——近くの道路では。
「俺の……彩……守る……俺の……」
瞳を黒く染めた男が虚げに呟き、誰かを探し回っていた。