恋のメンテナンスは必要ですか?
第十五話 「一緒にいて」
「坊ちゃん、大丈夫ですか?」
警察官の一人が翔に向かって会釈をしながら、気さくに翔へ話しかける。
「佐々木さん。外に倒れていた男性は——」
その言葉で彩は外へと走り出した。
「お父さん!!!!」
外に出ると警察車両と救急車。
父は家の塀にもたれ掛かり、頭から血を流していた。
「誠さん……!」
母が彩の横から飛び出し、父に寄り添う。
救急隊員に呼び止められ父の容態について説明を受けていた。
「ご家族の方でしょうか?」
「はい……妻です。」
「ご主人は頭部を損傷したようですが、意識もあり、大事には至らないかと思います。」
母と彩はほっと胸を撫で下ろす。
救急隊員は落ち着けるようにゆっくりと話す。
「これから病院に搬送しますが付き添いをお願いできますか」
「はい。私が」
「お母さん、私も——」
「彩。あなたは翔くんと一緒にいなさい。」
母の言葉に彩は「なんで……」と戸惑う。
戸惑う娘に優しく言い聞かせるように母は続けた。
「お父さんはこの状態で、私一人じゃ彩に何か起きても守れない。」
「でも!恭平はもう」
「あの男も思った以上に早く出てくるでしょう。そうよね?翔くん」
翔は申し訳なさそうに顔を下げ、口をひらく。
「おそらく、逮捕はされますが思った以上に早く出てくると思います。過去の件は警察に知られておらず初犯扱いだと思うので」
「そんな……」
過ぎ去った不安が再度、彩を震えさせた。
恭平は諦めたようにも見えたが、どうなるかは予想もつかない。
「そうでしょう。だからこそ、お母さんは翔くんと一緒にいてほしいの。」
「お母さんはどうするの?」
「私は大丈夫。お父さんにこのまま付き添ってもいいし、実家にも行かないといけないところだったから」
悩む。
翔のそばにいれば、確かに安全だと思う。
でも翔を都合よく使っているような気がして。
しかも、知り始めようとしたばかりなのに一緒に過ごすって……。
「俺は構わないよ。」
彩の不安を少しでも軽くするように、翔は彩に微笑む。
「俺は一緒にいて欲しい、かな」
「っ……」
あんなことがあったというのに意識してしまう自分がいる。
胸の高鳴りに恥ずかしくなって目を逃したくなった。