恋のメンテナンスは必要ですか?
「彩。お願い。」
母の願うような視線。
彩はしぶりながらも頷くしかなかった。
「……翔さん、一緒にいてもいいですか?」
「うん。もちろん」
二人のやりとりに母は安心したように微笑み、救急車に乗る。
微かに意思のあった父は小さな声で「彩を、頼んだよ……」と翔の手を握っていた。
救急車で運ばれる父と母を見送り、家の前には翔と彩が残る。
二人の隣でニヤニヤと笑った警察の佐々木が翔のことを見つめていた。
「いやーようやく坊ちゃんも奥さんを」
「佐々木さん。勝手に話を進めないでください。」
「えー?でもあんなに女性を避けてた坊ちゃんが女性を家に」
「もうワインもう送りませんよ」
佐々木は焦ったように脱いでいた帽子を被り直す。
「さっ!俺もそろそろ戻らないとっと。お嬢さん、坊ちゃんはこんな見た目なのに女性の噂が全くないクリーンな人ですよ。」
「え?」
「あー佐々木さん!いいですから!」
「いやーいいね〜大人の青春だ〜」
佐々木さんは楽しそうに警察車両に戻って行った。