恋のメンテナンスは必要ですか?
「…………」
「…………」
なぜか二人の間に気まずい沈黙が流れ、どうしようか困る。
「えっと。翔さん、ありがとうございました」
「俺は大したことしてないよ」
翔の謙遜に彩は微笑みで返す。
「それにしても恭平の家がお金持ちだったとは知りませんでした……」
「知らずに付き合ってたの?」
「全く……」
確かに不思議なところはいくつもあった。
仕事をしているはずなのにあまりにも返信がまめだったり、高いものも気にせず買っていたり。
それでも車は軽自動車だったし、恭平の住んでいた家もどこにでもあるマンションの一室で。
「お金持ちだからって高級マンションみたいなのに住んでるわけじゃないんですね」
「……っははは!!」
急に翔に笑われ、恥ずかしくなって拗ねる彩。
「だってそういうイメージだったんです……」
「あはは!ごめんごめん……本当に、彩は俺たちみたいなのからしたら外見も家柄も、背景も気にすることなくただ自分だけを見てくれる、奇跡みたいな存在だな」
まるで容姿や家柄、お金ばかりしか見ていない人間が多いと言っているように聞こえて首を傾げる。
「?案外いっぱいいませんか?」
「口で言うのは簡単だけど本当に行動できる人間は少ないよ。」
(うーん……?)
「そういうものですか。」
「うん。そういうものだね。」
静かな間が流れ、二人は同じタイミングで笑う。
「彩さん、持っていくものある?」
「え?」
「今日から俺の家に泊まるでしょ」
「……………………え」
(い、一緒にいてってそういうことだったの?!?!)
彩の思考の叫びは誰に届くことなく。
戸惑いながらお泊まり道具をまとめ、翔の車へと乗り込んだ。