恋のメンテナンスは必要ですか?
 *


「ついたよ」

 ついた場所はマンションの地下駐車場。
 あらゆるところに監視カメラが設置され、入ってくる時にはオートロックの巨大な門も見えた。

 (た、タワーマンション……)

 スケールの違いに気づき、顔が固まる。
 金持ちだからって高級マンションに住むわけじゃないんだと思ったけれど、間違っていたのか。
 予想もつかないこの先に、好奇心と緊張が彩の動きをぎこちなくする。

 
「荷物は俺が持つよ」

 翔は後部座席から彩の荷物を取り出し、持つ。
 彩のそばに寄ると微笑み、エスコートするように手を差し出した。

「……エスコートしても?」

「えっあっはい!」

 差し出された手を彩が掴むと翔は嬉しそうに手を握り返す。
 彩にはこのエスコートが普通なものなのかすら分からず、翔に誘導されるがまま手を握り、一緒にマンションの中へと入っていった。


 *


「本当にいいんですか……!私が入って……!」
「ここまで来て入らないというのもおかしいと思うんだけど」

 
 翔は面白そうにガチガチに固まる彩を見て微笑んでいた。
 
 一方、彩は玄関の直前で固まり、緊張がピークで。

 
 ——駐車場から翔の家の階までは直通のエレベーターだった。
 
 ラグジュアリーなエレベーターの中で翔と二人きり。
 翔に握られた手から自分の鼓動が伝わってしまいそう。
 

(手っ……い、いつまで繋ぐのかな……?!え、これが普通?!わかんないんだけど?!)
 
 胸の高鳴りと思考が混乱して目が渦巻きのように回り、爆発直前だった。
 
 エレベーターが最上階で停まり、玄関前に立つ。
 
 (いいのかな……本当にいいのかな?!)
 しつこいほど頭の中で色々考えてしまう。
 いくら嫌なことはしないと言っても男女が一つ屋根の下……!

 
 何も起こらないなんてあり得えな——

 彩は自分の頬を思いっきりつねる。
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