恋のメンテナンスは必要ですか?
(何を考えてるの!?)
隣で急に自分の頬をつねり出した彩を見て翔は驚いた様子で声をかける。
「えっ彩?どうし……」
「行きましょう。」
急に勢いよく放たれた言葉に翔は声を止めた。
変に漢気を感じる彩の声に彼は困惑していた。
「あや——」
「泊まるって決めたからにはある程度は覚悟しています!」
「…………」
翔は無言で鍵を開ける。
「どうぞ」の一言で彩は家の中へと足を踏み入れた。
彩が中に入ると翔も入り、内側から鍵をかける。
そこはまるでホテルのようだった。
廊下に飾られた絵画をダウンライトが照らし、タイル張りの床は非日常のよう。
いくつも見える扉の向こう側を見たい衝動に駆られる。
その衝動を抑え、振り返り「上がっていいですか?」と、聞こうとした——けれど。
大きな影が彩の壁際に追いやり覆い被さる。
不意の出来事に戸惑い、その影を見上げた。
翔はじっと熱を帯びた瞳で彩を見つめている。
彼の焦がすような瞳に逃げられず、彩は翔を見つめ返した。
「翔さん……?」
「覚悟って、どのくらい?」