恋のメンテナンスは必要ですか?
 
 翔の真剣な声に耳を奪われた。

 
「たとえば、こうして壁に追いやられてキスされることとか?それとも」

 
 一度は離した彩の手を再度握り、
 色っぽい低い声で囁く。


 
「……それ以上?」


 
 カァーと彩の顔が赤く染まる。
 今まで感じたことのないようなもどかしい恥ずかしさに襲われ、うろたえた。

 その顔を見て翔は体を彩から離す。
 嗜(たしな)めるように優しく言った。


「覚悟してる、だなんて簡単に言わないで。自分をもっと大切に。それに……俺も男だから……勘違いしてしまうよ」

「っ……ごめん、なさい」

 彩の赤い顔を見つめ、翔は笑う。
 
「わかってくれたならいいんだ。どうぞ、右奥から二番目の扉がリビングだよ」
「ありがとうございますっ……」

 慌ただしく、彩は言われた扉に入っていった。
 残された翔は壁に腕をついたまま、項垂れるように頭を下げる。

 
「なにしてんだよ……」

 玄関では翔が一人頭を押さえながら、自分の行動を反省していた。

 

 
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