恋のメンテナンスは必要ですか?
第十七話 「住まないか?」
心臓がドキドキとうるさい。
あまりの鼓動の激しさに翔から逃げ出すようにリビングへ走った。
右から二番目の扉を開けて中に入る。
呼吸を整え、前を見ると——
家の中とは思えない眺望が広がっていた。
「すごい……」
リビングだけで30畳はありそうな広さ。
ガラスの壁の向こうには開放感あふれる空のパノラマが広がっていた。
パーティー会場でしか見たことのない眺望に思わず感嘆の声をあげる。
「眺望はタワーマンションの醍醐味だからね」
いつの間にか後ろにいた翔は微笑みながら入り口すぐのアイランドキッチンへと向かった。
「夜になったらもっと景色がいいよ。何か飲む?」
「あ、水があったら水で」
「あはは、俺もいつも水飲んでるから沢山あるよ。はい」
翔は並べられていた未開封のミネラルウォーターを手に取り、彩に渡す。
「ありがとうございます。それにしても本当に広くて……インテリアもモデルルームみたい」
「モデルルームの家具を丸々買い取ったからね。ここを買った時は本当に忙しくて、自分で色々選ぶ余裕なんてなくて」
「へぇ……!」
彩はキョロキョロ部屋の中を見回し、置かれていた大型のグレーのソファーに触れる。
その様子を翔は微笑ましく眺め、思いついたかのように言った。