恋のメンテナンスは必要ですか?
「彩の欲しい家具があったら買いに行こうか」
「えっ?!」
「俺はそんなにこだわりないし、彩の欲しいものがあれば」
翔の言葉に焦って両手を振る。
「そんなずっといるわけでもない私のためにっ……」
「彩のだったら置いてもいい」
本気だと言わんばかりに見つめてくる翔に、
彩は目を泳がせ拗ねるように呟く。
「……翔さん、その言い方はなんかずるい……です」
彩の可愛い恨み節は、翔の鼓動を早くした。
「……っ。……はぁ」
頭を抱えてキッチンにもたれかかる翔。
懺悔するように彼は話し出した。
「俺、彩にゆっくりでいいとか、待ってるとか言ったくせに……押しまくって彩を困らせてるよな。」
自覚があったのか、と言いたくなったけど言わなかった。
気づいて少し落ち込んでいる翔が可愛くて。
「ふふふっ」
「……なんだよ」
「翔さん可愛いなって」
彩の言葉に今度は翔が拗ねながら。
「……言っておくけどこれでも3歳年上なんだからな」
と、彩に近づき、人差し指で優しく額に触れた。
触れられた頬に少し熱を感じながらも考える。
出会って一か月も経っていないこの人のことを、どうしてこんなにも知りたいと思い始めているのか。
芽生え始めたこの感情は本当に受け入れてもいいものなのか。
(でも……もし、もう一度恋をするなら……今度こそは普通の恋を、したい)
もらったペットボトルのキャップを開け、飲む。
目の端に映る、翔の横顔。
今はまだ、この距離で居たいと思った。