恋のメンテナンスは必要ですか?
第十八話 「俺を見て」
『一時的な避難所としてで構わない。ルームシェアみたいなものだと思ってくれればいい。今の状態のまま、友人の大切な娘さんを守れる者もいないところへ送るのは私も心配なんだ。』
進は真剣に話す。
自分のことを第一に考えてくれてることに心の底から感謝した。
「でも……」と彩は口を開く。
「神崎さんの気持ちはとてもありがたいです。翔さんもいいよって言ってくれるんだと思います。でも、ルームシェアだとしてもこのお家の規模の生活費を半分でも負担できる気はしないですし……」
ルームシェアとなったら家賃や生活費を折半するものだろう。
彩は恥ずかしげに俯く。
歯科衛生士として働く彩にはそんなお金は出せなかった。
彩の言葉に進も翔も瞼を瞬かせ、唖然としている。
『折半……あはははは!!!』
「父さん……!」
突然笑い出した進に彩は戸惑った。
(えっなんか変なこと私言った?)
『いや、申し訳ない。やー本当に、君は素敵な子だね。そんなことを気にされるとは思わなかった。……本当に、どんな環境や世界に触れても価値観がブレない。』
「……?」
自分にとって当たり前のことを言われ不思議になった。
そんな彩に進は優しく微笑み、今度は頼み込む。
『折半だなんて。何もいらないよ。ただその家で翔と過ごしてくれればいい。そしたら少なくともストーカーに狙われるようなことも起きないだろう。それに……ご両親も君の安全のためにそれを望んでいる。』
「お父さんたちが……」
悩んだ。
本当にいいんだろうか。
たとえ両親が望んでいるんだとしても、ここが一番安全だとしても。
こんな都合よく居座っていいんだろうか。
悩みが顔に出ていたのか、翔は彩を見つめた。
「俺は、彩がいいなら一緒に過ごしたい。彩の安全が確認できるまでよかったらここにいて。」
ここまで言ってもらっているのに、断るのも申し訳ない気がして。
部屋も別にあり、翔とは一緒に過ごしていて楽しい。
出会って日は浅いけれど両親も知っている。
なにより、自分自身が信用したいと思い始めていた。
甘えることに申し訳なさを感じながらも彩は決める。
進と目を合わせ、言った。
「甘えてばかりで申し訳ないですが、よろしくお願いします。」
進は満足げに微笑み、頷く。
『あ、他に好きな人ができたらそれはそれで仕方ないからね』
「えっ……あっ……」
返す言葉が見つからず、結局「はい……」としか言えない。
隣では翔が少し視線を落としながらどこかを見つめていた。