恋のメンテナンスは必要ですか?

「……なんで、わかったんすか」

「いや、星野くんの表情がわかりやすいのもそうだけど、前……えっと三上さん?が入ってきた時くらいにキミを巡って彩ちゃんと三上さんがどんぱちしてたじゃない?まぁ三上さんが一(・)方(・)的(・)に(・)って感じだったけど」

「それを本人に言うのもどうかと思いますけど……」

「まぁ。でもわかってたでしょ?二階の在庫部屋で『彩にこれ以上嫌がらせしてみろ。俺はお前を許さねぇ』ってベッタベタに宣言してたし」

「聞いてたんすか?!?!?!?!?」

「ちょっと息子の連絡きてないかスマホ確認しに上へ上がったらたまたま。」

 聞かれていたことの恥ずかしさに、その場でうずくまり顔を隠す。

 
(聞かれてたとか、まじありえねぇ……!)
 

 三樹はまるで面白いものを見るように笑う。
 ひとしきり笑い終えると息を整えて口を開いた。

「大丈夫。誰にも言ってないし、知ってるの私と言われた三上さんだけでしょ」

「それに——」

 

「かっこいいと思うよ?」


 ニカっとイケメンに笑う女の先輩に樹は目を丸くする。
 少しの間の後、すぐに目を細めて拗ねたように指摘した。


「……三樹さん、面白がってますよね。」

「誤魔化したのに。」
「バレバレですよ!!!!」

「結婚して世帯を持った子持ち主婦の職場での楽しみなんて、若い子のたちの恋愛を眺めてキュンとすることかくらいなんだから許しなさい。」

「絶妙に返しに困る返答するのやめてもらえます?」

 三樹におちょくられ、拗ねたように口を尖らせるが……本当のことだった。

 
 俺は、彩が好きで。
 
 それは大学時代からずっと変わらない。
 でも彩は——……


「……はぁ」

「青春だねぇ。」

「……俺もう24っすよ」

「大人になってからの青い春は第二の青春とも言うんだよ」

「へぇ……」


 俺の遅く来た第二の青春は、花咲くことができるだろうか?
 
 想い人に意識されてすらいない俺は——


(実をつけることすら危ういな)

 自嘲気味に笑い、暗くなった外を見つめる。

「明日は彩に会えっかな……」

 
 『会いたい』

 
 密かに暗い空で輝く星に願った。
 
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