恋のメンテナンスは必要ですか?
第二十話 「気に入らない」
歯科の定休日も重なり、三連休となった休み明け。
彩は翔の運転する車で職場へ向かう。
昨日乗った際にはなかった柔らかいブランケットに彩の足は包まれていた。
「いつの間にブランケットなんて買ったんですか?」
「昨日の夜に。ヒートシーターついてても寒いかもしれないからね」
朝から相変わらずの甘さに胸が高鳴る。
自分だけが特別扱いなのだと感じて気持ちが落ち着かない。
「……翔さんはなんかずるいです。」
「え。」
自分は翔に対してなにもできていないのに。
してもらってばかりの現状に頬を膨らませる。
翔は彩が拗ねている理由がわからないのか道路の先を見つめながらも目を戸惑わせていた。
*
職場の近くの路肩に車を停めてもらい、車を降りる。
「ありがとうございました。助かりました。」
「気をつけてね。と言ってももう目の前だけど」
「ふふっ。翔さんも、いってらっしゃい……?」
「ははっ。いってきます。」
翔は手を軽く振って車を走らせる。
彩はその姿を見送り、歯科へと歩いていった。
「……彩先輩……?とあれは……」
髪を一つに束ね、後毛を緩く巻いた杏菜。
出勤途中だった彼女は目をきつく釣り上げる。
「へぇ……」
「樹先輩に教えてあげないと……ね?」
自分より下のはずの女が、自分よりモテているのは気に食わない。
杏菜は先を想像するようにニコニコと楽しそうに笑っていた。